ドラゴンクエストIII
1人の人間がその生涯中に行う仕事には寿命がある。勢いと若さで躍進する前駆期、頂上に上り詰め、その頂点を疾走する全盛期、それからは体力と共に衰え始める技を出来るだけ最小限にとどめる円熟期と、おおざっぱに分けて3つの期間があるのではなかろうか。
このFC版ドラクエ3は堀井雄二の、その最も油ののりきった時期に作られた名作である。1,2でエネルギッシュに躍進し頂上に上り詰め、3で氏のその蓄積された能力が十分に花開いたと言ってよいだろう。よく練られたシナリオ、絶妙に計算されたゲームバランス、ゲーム全体から受ける爽やかな印象、心憎いばかりのネーミングセンス、アイデア、どれをとっても非のうちどころのない、日本人が辿り着いたRPGの代表となる、魅力あふれる作品である。シリーズ化され45678と発売されたが、現在、これ以上、魅力的なドラクエシリーズを楽しむことは出来ない。これからもないかもしれない。
さらに音楽もシリーズ中、出色の出来である。ドラクエミュージックの名曲は、主に3や2に集中しているのではなかろうか。”大空を飛ぶ”などは8にも使いまわされた。最もそれは最近のドラクエに力がなくなっている事の証拠にもなってしまっているのだが。
グラフィックや音源など、FC時代の作品であり、現在の進んだハードの基準での評価は難しいが、ゲームファンと名乗るからには、一度はプレイすべき名作である。いや、むしろ様々な技術的制約のあった時代に、これほど質の良い、完成度の高いゲームがあったのかと感心されるかもしれない。